職人の旅
2004年11月15日
職人の旅 〜匠をたずねて〜
この世の中には知られざる職業を極めた方たちがたくさんいらっしゃいます。
この番組ではそういった方々にスポットを当て、お話を聞こうという番組です。
第一回のゲストはプロ野球界のベンチを暖めて25年。
「ベンチウォーマー」の温井座 守(ぬくいざ まもる)さんです。
レポーター「ベンチウォーマーとはどのようなお仕事なのでしょうか?」
温井座「プロ野球の試合中、チームのベンチを暖める仕事ですよ。凍えていては体が上手く動きませんからね。肌寒い春先や秋口は私のような者が必要なのですよ」
レポーター「なるほど、大切なお仕事なのですね」
温井座「ベンチウォーマーと言うと暖める専門のように思われますが、夏場は逆に寒いダジャレを言ってベンチを涼しくしたりもするんですよ」
レポーター「まあ、そうなんですか? 意外ですね」
温井座「しかし最近はどこもドーム球場ばかりでしょ? 夏は冷房が入るし、冬は暖房が入る。私のような職業の者はどんどん少なくなっているのが現状です」
レポーター「それは寂しいことですね」
温井座「でも私達も手をこまねいて現状を受け入れるわけには行きませんからね。野外球場の多いメジャーに挑戦しようかと思っているんですよ」
レポーター「まあ、それはすごいですね!」
温井座「いつの日か、『マツイ』とか『イチロー』みたいに『ヌクイザ』なんて呼ばれるかもしれませんね」
そう言って笑う温井座さんは本当に暖かい方でした。
こういう薄ら寒い現代だからこそ、ベンチウォーマーのような方が必要なのかもしれませんね。
職人の旅、いかがでしたか?
それではまた次のジャーニーでお会いしましょう。
2004年11月20日
職人の旅 〜匠をたずねて〜
この世の中には知られざる職業を極めた方たちがたくさんいらっしゃいます。
この番組ではそういった方々にスポットを当て、お話を聞こうという番組です。
第二回のゲストは鍋を見守り続けて30年。
「鍋奉行」の大岡 鍋造(おおおか なべぞう)さんです。
レポーター「まず鍋奉行とはどういったお仕事なのでしょうか」
大岡鍋蔵「鍋の平和を司る役職である」
レポーター「鍋の平和ですか」
大岡鍋蔵「左様。この世にアクのはびこる限り戦い続けるのが我が仕事よ」
レポーター「アクと戦うのが主な仕事ということですね?」
大岡鍋蔵「いや、それだけではないぞ。鍋を囲む民を裁くのも我が努め」
レポーター「鍋を囲む民を裁く?」
大岡鍋蔵「例えばよくあるのが肉の取り合い。そういった事が起こると我は箸で肉を引っ張らせるのだ」
レポーター「あ、なんだか聞いたことがあるような話ですね」
大岡鍋蔵「見事、引っ張り勝った方がその肉を食せる」
レポーター「え、そうなんですか?」
大岡鍋蔵「うむ。だが追加で肉を入れさせ、その代金はそやつが払う事となる」
レポーター「なるほど。それだけ食欲が強いと他の方よりたくさん食べているはずですものね」
大岡鍋蔵「裁判官は法と判例で人を裁くが、奉行は良心と情けで人を裁く。規則に縛られた人々が憩いを求めて集まる鍋の周りには、裁判官より我らのような奉行のほうが適しているのだ」
そう語る大岡さんの口からは、鍋よりも熱い情熱が伝わってきました。
鍋奉行は、私達の心のアクを取ってくれる素晴らしい職業なのかもしれません。
職人の旅、いかがでしたか?
それではまた次のジャーニーでお会いしましょう。
2004年11月28日
職人の旅 〜匠をたずねて〜
この世の中には知られざる職業を極めた方たちがたくさんいらっしゃいます。
この番組ではそういった方々にスポットを当て、お話を聞こうという番組です。
第三回のゲストは雨を降らせて15年。
「雨男」の八雲 恵(やくも めぐみ)さんです。
レポーター「雨男と聞いたので男性かと思っていたら女性でいらっしゃるんですね」
八雲「ええ、よく言われます。『雨男』というのはあくまでも職業名なんですよ。中には私みたいな女性や、中性の方もたくさんいらっしゃいます」
レポーター「どういったお仕事なのですか?」
八雲「水不足が深刻な地域に出向き、雨を降らせることです」
レポーター「あんまり聞きなれないお仕事ですね」
八雲「雨の豊富な日本ではそんなに多くないのですが、世界規模ではかなりメジャーな職業なんですよ」
レポーター「へぇ〜、そうなんですか」
八雲「特に中東やアフリカなどでは大人数の雨男による一大プロジェクトが頻繁に組まれ、私のところにも以来が来たりします」
レポーター「あ、それはすごいですね」
八雲「でも帰りが大変なんですけどね。雨男が大勢集るせいで嵐になっちゃって、なかなか飛行機が飛ばないんですよ」
レポーター「なるほど。それは大変ですね」
八雲「もっと大変なのは洗濯ですよ。干そうとしてもすぐ雨が降っちゃうので、私たちには乾燥機が必需品なんです。あと大量の除湿剤も」
レポーター「けっこうきついご職業なんですね」
八雲「でもこれは体質なんでやめようにもやめれませんけどね。でもいいこともあるんですよ。行く先々でまるで神様みたいに扱ってもらえるんです。私の降らす雨なんて『恵の雨』と呼ばれてありがたがられていますし。最初はダジャレみたいで恥かしかったですけどね」
八雲さんの笑顔は雨雲から覗く太陽のように晴れ晴れとしていました。
職人の旅、いかがでしたか?
それではまた次のジャーニーでお会いしましょう。